far away from

 

 

が晴れている。
カーテンを開けなくてもそのことがわかるのは、辺りがすっかり明るくなったからで、ぼくはそろそろ起き出さなければならないと思っている。
 
 
朝は仕事がたくさんある。
もっと若い頃には、その可能性についてすら考えもしなかったような仕事だ。
だけどそれがぼくの今の日常だし、ぼくはそれを憎んだりなんかしていない。
 
 
きみがツアーに出ていることを、ぼくは知っているよ。
世界中を飛び回って、新しい仲間たちと上手くやっていることも。
 
 
それはそんなに衝撃じゃなかった、少なくとも、ぼくが最初に思っていたよりは。
考えてみれば、ぼくだって同じようなことをやっているわけだし。
 
必然っていうのがどういうことなのか、ぼくはよくわかっているつもりでいる。
その重要性については、些か議論の余地がありそうだけれどね。
 
 
でも、ツアーに出ているんだから、きみはきっとそんなつまらないことは考えない。
昔のことなんか振り返らないし、きみの気分を害するかも知れない、くだらない事柄については何も考えない。
 
ライブの時の熱狂についてなら、ぼくも知っている。
無数の歓声が血液に溶けて、身体をぐるぐる廻って熱くするんだ。
だけどそれは汗の染み込んだ皮膚にはひりひりとしみるから、ぼくはいつだって少し泣きそうになっていたんだよ。
そんなのはまるきりどうだっていいことだけれど。
 
 
 
最初にアメリカに行ったときのことを覚えてる?
打ちのめされて、何もかもが最悪だった。
いい思い出だ、なんて言うのは間違っている。
死んでしまった人すべてがいい人ではないように。
(でも実を言うと、ぼくには、死んでしまった人なんか、みんないい人に思えて仕方がないんだよ。)
 
 
きみのツアーの日程を全て把握しているわけじゃない。
だからきみが今どこの国に居て、何をやっているのか、ぼくは知らない。
 
 
 
いま、きみがいる国では、空の具合はどう?
ホテルのシーツはどんな匂いがする?
流れ出る水道水はどんな味がして、あいさつの言葉はどんな風に聞こえる?
 
 
そんな疑問で、きみを煩わせようとは思わない。
そんなことは、ぼくの日常とも非日常とも、決して交わることなんてないのだから。
 
 
だけど、きっといい天気だと良いね、それに空気があたたかだと良い、食べ物がおいしければ良い、それから。
 
 
 
 
 
 
きみがどこに居ようと、
ぼくはいつだってきみのことを思っているからね。
 
 
 
 

 

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うーん、こういうのはありなんだろうかね・・・。これはないですね・・・。

とにかくすみません!